ミツカングループ×日本女子大

“にっぽん食”の概念提案

「簡便」を前提に共食・健康/ 学生らと共創プロジェクト

 ミツカングループと日本女子大学は、若者から見た“これからの日本の食”をテーマに共同で研究する共創プロジェクト「にっぽん食プロジェクト」を昨春から開始、一年間の成果について7日、都内で飯田文子家政学部食物学科教授と中埜裕子Mizkan Holdings社長らが出席し記者発表会を開いた。“にっぽん食”の概念は「持続可能」「おいしくて健康的」「共食を通じてコミュニケーションを生む」「日本らしさをいかす」「味覚を育む」の5項目と定め、飯田教授は特に「持続可能」のためには大前提として“簡便”であることを強調した。

2023年3月10日
  •  中埜社長によると、2018年策定の「ミツカン未来ビジョン宣言」において、10年先の未来に向けた約束として「人と社会と地球の健康」「新しいおいしさで変えていく社会」「未来を支えるガバナンス」の実現を目指している。野菜や豆の芯や皮まで使用した「ZENB」ブランドを立ち上げたほか、様ざまなステークホルダーとともに共創価値創造の取り組みを現在進めている。同大学の理念「新しい明日を共に創る」と共感しあったことをきっかけに共創することになった。
     「日本で古くから受け継がれてきた“和食”が、食文化の多様化と共に現代の“日本食”となり変化したように、“にっぽん食”も日本食の先にある、未来の食のあり方を示す名称」(飯田教授)として、約束する5つの“食”を示した。
     ①「持続可能な食」は自給率向上や食品ロス問題を解決すると共に、簡便な調理法で作り続けられる②「おいしくて健康な食」は食べ続けられるおいしさ、食べ続けられることで健康につながり、日本人が抱える栄養上の問題を解決できる③「共食」は共食がもたらす食のコミュニケーションを通じて、食の喜びや楽しみを感じられる④「日本らしさ」は日本の旬の食材を活かし、四季を感じられる⑤「味覚」は日本の調味料の良さを活かし、味覚を育むおいしさ。
     プロジェクトは女子大生の食の実態と食に求めていることを明らかにするためアンケート調査を実施、その結果、簡便化が進み、一方で「共食」(空間を共にする食事/身近な作り手との空間を隔てた食事)を求めていることが分かった。その後約半年間、「課題解決型ワークショップ にっぽん食を考える」授業を14回(その内ミツカンは2回担当)を実施し、「おいしさと健康の両立」「共食」「食品ロスを減らすというSDGsの観点」「作り手に優しい持続可能な食事」「自給できる食材」など、学生の視点で捉えたアイデアを集め、飯田教授がまとめた。
     受講生を4チームに分け、にっぽん食のメニューも考案した。例えば日本の伝統調味料である酢、だし、かつお節を使用した「土鍋パエリア」、鶏肉の代わりに自給率の高い鰹を使用し昆布やキノコのうま味を利用した「カオマンガツオ」、かつお節のうま味とカレー粉の風味の「ブリのかつお節焼き」、デザートには「ぽん酢と柑橘のゼリー」など。